今回は、米澤穂信氏の推理小説「氷菓」についてお伝えして行きたいと思います。この作品はアニメや実写映画でも取り上げられていてこちらもとてもおもしろいですよ。
内容は、主人公が学校の「古典部」に入部してから学校を舞台に起こる、奇怪だったり、とてもシリアスな出来事を解決していくという感じのものです。
既刊
・<氷菓>
・<愚者のエンドロール>
・<クドリャフカの順番>
・<遠回りする雛>
・<ふたりの距離の概算>
・<いまさら翼といわれても>
・<氷菓>
どれもとても構成やストーリーなどがおもしろかったです。とくに<氷菓>は学生運動での出来事や当時の社会風景なども描かれていてとても参考になります。
歴史の教科書では何があったか学べるけれども、その時代を生きた人が実際に何を感じ、何を思ったかなんてのはなかなか文書からだけでは想像しにくいものです。
1960年代頃の国民や学生の標的が「先生」とか「親」といった個人ではなく、「国家」や「体制」そのものだったなんて言われても今ではピンとくる人は少ないのではないでしょうか。
しかし、「自主」「尊立」なんてもう学校の校訓でくらいにしか見かけなくなりましたが、そういった言葉がもてはやされていた時代にあって、考え方が違うかった時代は、ほんの半世紀前のお話なのです。
私たちは、こうした時代の流れの中で今はよく「時代は変わった」というフレーズをよく耳にすることが多くなりましたが当時の風潮や何をもってして立ち上がったのかについては、戦後70年以上経ち、日本のお国の為に命を懸けて戦った世代の方たちから直接当時の状況や出来事を聞く機会は失われつつある世の中で、今一度振り返る必要があるのではないかと思います。
これは、学校を舞台にしてそうした当時のデモクラシーなどの影響を受けた学生たちがどうしたかを今の時代から推測していくというお話でもあるので、一度読まれてみるとおもしろいかと思います。